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ファンド攘夷論の危険性 -その1 村上ファンドへの糾弾

 村上ファンドの元代表の村上氏に対して、有罪判決が下りました。その判決文に「安ければ買うし、高ければ売るという徹底した利益至上主義にはりつ然とする」と、村上ファンドを糾弾するくだりがあります。裁判所はこの国の良識を代表する機関です。その機関が、このような価値観を持つということに、ぼくはりつ然としました。

 世間には、ファンド悪玉論が盛り上がっています。そしてファンドが資本市場を支えているという認識は乏しいですね。それを踏まえると、この国の資本市場の先行きには、厳しいものがあると考えざるを得ません。

□ ファンド悪玉論の盛り上がり

 最近ファンド悪玉論が、急速に浸透しつつあります。その論調には”文化論”が多いです。「ファンドの掲げる株主主権主義は日本の文化に合わない」といったものです。これは、ぼくには「ファンドは気に食わない」という感情論に聞こえます。
 
 最近の判決をみると、司法でさえファンドを感情的に糾弾しています。「ひたすら自らの利益を追求する存在」。これは、スティールパートナーズに対して向けられたものです。「安ければ買うし、高ければ売るという徹底した利益至上主義にはりつ然とする」。これは、村上ファンドに対して向けられたものです。ここまでくるとあまりにも時代錯誤的で、読む方がりつ然としますね。

□ 市場主義経済の否定

 裁判所の判決文を見ても、この国には「利益至上主義は悪」、「自己利益の追求は悪」という価値観が根強いのです。これに照らすと、投資家はみな悪人ですね。たしかに資本市場以外の領域では、利益至上主義には問題があるでしょう。しかし資本市場に限って言えば、利益至上主義こそすべての力の源泉だといえます。

 また自己利益追求の否定は、市場経済原理の否定を意味します。市場主義の大原則は、「個々の経済主体が利己的に行動することによって、市場全体の利益が増進される」というものです。いわゆる神の見えざる手という考え方ですね。

 もちろんルールを逸脱して自己利益を追求することは問題です。しかし資本市場において、そのルールを遵守する限り、自己利益追求は善です。これがグローバルスタンダードな考え方です。これが受け入れられないとなると、資本市場は健全に機能しなくなります。

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