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コンプライアンス不況

 政府の公式見解では、景気は拡大が継続していることになっています。しかしわれわれの実感とは、かなりのギャップがあると思います。実感ベースでは「景気が悪化している」と考えている人が、多いのではないでしょうか。

 確かに輸出産業の景気はよいようです(この風向きも変わりつつありますが)。しかし純粋な国内景気はよくないですね。今の世の中には、低く垂れ込めた雲のような閉塞感が蔓延しています。日本経済全体の活力が乏しくなっています。

 この閉塞感をもたらす一つの要因として、社会的な”リスク過敏症”が指摘されます。それをもたらしているのが、事業活動に対する法規制の強化と社会的制裁力の高まりです。ちょっとしたミスが命取りとなることで、企業がリスクをとりにくい状況になっているのです。過度のコンプライアンス規制が、不況の一因となっている可能性は少なくないでしょう。

□ 新建築基準法がもたらした住宅不況

 建築基準法の規制が強化されたことにより、住宅着工が事実上ストップしていることについては、以前の記事に書きました。
  参考記事 「住宅不況到来!? その1
         「住宅不況到来!? その2
規制が厳しくなったことにより、住宅業界企業や建築確認機関などのコンプライアンスリスクが高まり、大規模住宅の着工が困難になくなってしまったのです。

 社会的規制の強化が市場の収縮を招いている例は、多方面に見られます。金融商品取引法の規制強化により、投資信託の販売に急ブレーキがかかっています。消費者金融のグレー金利に対する規制強化は、”サラ金”業界に壊滅的打撃を与えただけでなく、サラ金ユーザーの消費を冷やしています。また個人情報保護法は、企業のマーケティング活動を萎縮させ、消費者の利便性も悪化させています。

□ リスク過敏シンドローム

 過度のコンプライアンスリスクの高まりは、ビジネスを萎縮させます。リスクを増大させているのは、法規制の強化だけではありません。違法行為に対する社会的制裁の高まりも、リスクを増大させる要因となっています。今の世の中には、コンプライアンス上のミスを犯した企業をつるし上げるようなムードがあります。

 もちろん意図的な脱法行為は、許されるものではありません。しかし現在は、ちょっとした過失が大問題になってしまいます。このような状況を受けて、企業の姿勢も極めて神経質になっています。たとえば、「会社の書類を持ち出すときは、すべて許可が必要」。「ノートパソコンにデータを入れて持ち歩いてはいけない」など。ビジネスパースンがのびのびと仕事が出来る雰囲気は、もはやありません。

 社会も企業も個人も、”リスク過敏シンドローム”になってしまっています。これでは経済が萎縮してしまうと思います。

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