円安時代定着
日銀が発表した8月(18日までの平均)の実質実効為替レートは95.2で、前年の96.2からさらに円安となりました。実効為替レートとは、円と主要な他通貨間の為替レートを、貿易ウエイトで加重平均したうえで指数化した指標です。さらに物価変動の要因を調整して算出した指数が実質実効為替レートであり、これは客観的な円の強さを示すものといえます。
今、世の中的には「円高の影響」を懸念する声が大きいですが、客観的な事実としては「円安」が実態です。実質実効為替レート95という水準は、歴史的に見れば1980年代半ばの、プラザ合意前の水準です。円の価値は、20年以上前の水準に戻っているのです。
□ 実態は「ドル安+円安」
外国為替レートに関して、我々は円ドルレートを見慣れているので、「現在は円高」と感じる人が多いかもしれません。しかし今はドルが一番安い通貨なので、円ドルレートでは客観的な円の力を測ることはできません。
そこで実質実効為替レートをみると、2000年くらいから円がどんどん安くなっていることがわかります。1990年代の円相場のピークでは、実質実効為替レートは150くらいありました。それとの対比では、円の価値は3分の1以下に下がっています。
□ 1980年代へ逆戻りか
円の価値を歴史的に辿ってみると、1985年のプラザ合意までが円安時代でした。日本はコストの安さを武器に、「世界の工場」にのし上がりました。そして1980年代後半から1990年代までが円高時代でした。この時代は製造業の国際競争力が失われ、非製造業が日本経済を支えることが期待されました。
しかしながら、円高時代に期待された金融・IT・サービス産業などの国際競争力が高まったかと言うと、そうではありません。その結果、日本の産業構造は製造業が主役の時代に逆戻りしました。
これを「失われた20年」と呼ぶこともできるでしょう。失われた20年の間に、円の価値は失われ、日本の豊かさも失われました。このような見方もできると思います。
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