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老人国家に未来はあるのか ―その1 「平成鎖国論」台頭?

 衆議院選挙は民主党の圧勝に終わり、政権交代が実現することになりました。民主党に対する強い追い風の背景には、国民の強い閉塞感があったと考えられます。当然ながら「閉塞感」は、変化を求めます。その結果、「変化」を掲げた民主党に向かって風が吹いたのは、自然の成り行きだと思います。

 ただし国民が求めた「変化」の具体像が不透明であることは、非常に気になるところです。この国の行方については、民主党も具体的なビジョンを示せていないと思います。そしてもう一つ気になる点は、その「変化」の方向性が未来志向ではなく、「昔は良かった」的なノスタルジーの色が濃くなっているところです。

 その背景には、選挙民の高齢化等により、”老人のガバナンス”が強くなっている現実があるのではないでしょうか。

□ 反市場主義で経済再生ができるのか?

 民主党の鳩山代表は、米国紙に『日本の新しい道(A New Path for Japan)』という論文を寄稿し、米国流のグローバリズムを強く批判しました。反グローバリズムの論調はこの選挙を通じて、世の中の大勢になったようにも感じられます。

 この選挙を通じて、民主党は「行き過ぎた市場原理主義を是正する」と主張しました。このフレーズは「市場主義」という単語に、「行き過ぎた」と「原理」という二重の極言表現を付加するレトリックにより、誰も反対できない主張になっています。しかし冷静に考えれば、「行き過ぎた市場原理主義」が現状の実態ではないことに気づくはずです。

 鳩山民主党は、選挙の熱に浮かされるように、「反グローバリズム、反市場主義」の旗を大きく掲げてしまいました。しかしこれは、世界経済の実態から遊離した独りよがりな主張のように感じられます。反市場主義によって経済を再生する処方箋を描くことは、現実離れしていると言わざるを得ません。

□ 平成鎖国主義の台頭?

 「グローバリズム」か「反グローバリズム」の対立は、幕末の「開国論」と「鎖国論」の対立を思わせます。その当時も「日本流を守る」という「鎖国論」が優勢でしたが、最終的には現実離れした「鎖国論」を維持することはできませんでした。

 幕末の「鎖国論」は年長のエスタブリッシュメント層に支持され、「開国論」は若年の下級武士層に支持されました。そして明治維新により年長のエスタブリッシュメント層が一掃され、若手主体の改革が進んだことが、その後の発展の源流になったことは歴史の示すところです。

 しかし現代日本において、明治維新の再現は困難でしょう。現代日本においては、高齢者の政治力が非常に強く、若年層の力は年々弱まっています。このため高齢層の既得権は常に擁護され、将来のために必要な改革は常に先送りされる傾向にあります。”老人国家”の将来を懸念せざるを得ません。

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