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名門企業J社の末路 ―その1 放漫経営の手口

 J社は没落の途上にある名門企業です。J社は広範な事業を手掛けており、社員数も膨大です。しかし時代遅れビジネスモデルの改革を怠ってきたため、J社の事業は著しい不振に陥っています。

 J社の抱える最大の問題は、財務の著しい悪化にあります。J社の売上高は500億円以下まで落ち込んでいるのに、J社の借入金は1兆円近くもあります。こんなひどい状況でも、J社の財務が破綻をきたさない理由は、”Yマジック”とも言うべき、資金調達手法にあります。

 J社はY銀行という銀行子会社を持っており、Y社が集めた貯金のほとんどがJ社に対する融資になっているのです。そしてY銀行の貸付金は、J社の社員の貯金が元手になっています。J社の社員は、J社の財務が危機的状況にあることを正しく認識していません。それどころか「身内だから安心」と、老後資金の大半をY銀行に貯金しています。

□ 頓挫した経営改革

 以前J社では、改革派のK氏が社長に就任し、財務の健全化に向けた改革を進めました。「銀行を傘下に持ったままでは、財務規律が保てない」との理由で、K氏はY銀行の株式を放出し、Y銀行をグループから外すことを決定しました。

 しかしK氏の行った経営改革は、社員から不人気でした。事業のリストラを断行し、社員の賃金も減らしたからです。そしてK氏が引退すると、改革の巻き直しが始まりました。

□ Y銀行という財布頼みの放漫経営

 J社の取締役は、社員の投票によって選ばれます。このためJ社の経営幹部は、こぞって社員の人気取り的な経営方針を掲げて選挙に臨みます。昨年の取締役選挙では、「社員へのこども手当支給」などのバラマキ方針を掲げたH氏の一派が圧勝しました。そしてH氏は社長に就任し、派手なバラマキを始めました。

 今、J社の経営陣はY銀行株式の放出方針を覆そうとしています。仮にY銀行がグループ外に去った場合、打ち出の小づちのようにJ社に資金を貸してくれる金融機関はなくなります。金融機関はこぞって、厳しいリストラによる財務の健全化をJ社に求めるでしょう。つまりJ社が放漫経営を続けるためには、Y銀行を傘下に置いておく必要があるのです。

 (この記事は次回に続きます)

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