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経済危機の効用

 現在多くの企業は、不況のどん底でもがくような経営を余儀なくされています。しかしその中でも、成長を成し遂げている企業があり、最近は「最高益更新」というような景気の良い話も持ち上がるようになってきました。

 一昨年以来の経済危機は、企業に「改革か死か」という踏み絵をつきつけました。つまり改革できた企業のみが生き残り、改革できない企業は未曽有の不況の泥沼に沈むということです。そしてなまじの不況でないからこそ、不退転の覚悟で改革を進めることができるとも言えます。

□ 過去の常識を超越したマクドナルド

 マクドナルドホールディングスの2009年12月期決算は、上場以来の最高益を記録しました。深刻な消費不況をものともせず、収益構造の革新を成し遂げたマクドナルドの経営力には、目を見張るものがあります。しかしマクドナルドは、この業績にも満足せず、さらなる改革を進めようとしています。

 同社は今期、400以上の店舗を閉鎖すると発表しました。「最高益でもリストラ」とは、過去の経営の常識を覆すものと言ってよいでしょう。通例は業績が良くなれば、リストラの手は鈍るものです。ところがマクドナルドは、改革の手をまったく緩めようとしません。

 その背景には、マクドナルドという企業が健全な危機感を持っていることがあると思います。そして業績が最高益でも危機感を持てるのは、経済危機の効用と言ってもよいでしょう。

□ 10%削減は半減より難しい

 企業改革に当たり、漸進的な改革は得てして急進的な改革より難しいものです。たとえばコストを10%削減する場合には、社内に様々な抵抗が生まれ、実行が困難になる場合があります。これに対してコストの半減を目指す場合には、従来の延長線上での対応では不可能なので、旧来のしがらみを断ち切った改革に踏み切ることが不可欠になります。このため、10%削減を目指す取り組みでは何も変わらないが、半減を目指す取り組みはイノベーションを生むということになりがちなのです。

 今般の経済危機に当たり、多くの企業は「斬新的な改革では会社が持たない」と考えたはずです。それが不連続的な改革に踏み切る誘因となり、そこからイノベーションを創出できたのなら、それは経済危機の効用と考えてもよいでしょう。

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