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ソニー、Google提携 ―その1 コモディティ化と戦うソニー

 ソニーがGoogleとの提携を発表しました。この提携が、ソニーの復活のきっかけとなるかどうかは、今後の経緯を見守るほかありません。しかしこの提携は、ソニーにとって重要なターニングポイントとなる可能性を秘めています。

 ソニーは過去一貫して、ブランド力を武器に、「モノに付加価値を付けて売るビジネスモデル」を推進してきた企業です。ただしそのビジネスモデルの賞味期限は、1990年代には既に切れていました。モノに付加価値を付ける戦略は、もはや有効とは言えません。

 バブル崩壊以降、ソニーにとっての20年は、日本経済の20年と同様失われた20年であり、老朽化したビジネスモデルからの脱却を求められ続けた期間だったと考えられます。過去20年間、”宿題の答え”を出せなかったソニーにとって、残された時間は長くありません。今回の新機軸は、ソニーが世界をリードする企業に復権するための最後の機会といってよいのかもしれません。

□ モノ売りビジネスの時代は、はるか昔に終わった

 かつてソニーブランドは、「時代をリードする企業、商品」の代名詞でした。しかし現在、時代をリードしているのは、アップルやGoogleであり、ソニーは旧勢力の一角を成しているに過ぎません。

 ソニーがそのブランド力を失った理由は、一言で言うならば、「モノ売りビジネスから脱皮できなかった」ということに尽きます。

 バブル期までは、モノが新しいライフスタイルやビジネスイノベーションを導くカギとなっていました。しかし現在、モノはその力を失っており、新しいライススタイルを導くのは、サービスやソフトウエアです。アップルのipodやipadは単なるモノではなく、消費者に新しいライススタイルを提案できています。

□ ソニーを蝕んできた「コモディティ化」の波

 ソニーのブランド力を蝕んできたのは、「所詮モノはモノ」と考える、コモディティ化の波です。以前の消費者は「ソニーブランドなら高くて当然」と考えましたが、現代の多くの消費者は、「ソニーでもパナソニックでも他のメーカーでも、モノの性能には大差ないのだから、同じモノなら安いほうがよい」と考えます。ソニーブランドは付加価値を形成する力を失いました。  

 こうしてソニーのTVもパソコンもビデオカメラも、家電量販店で安売りされる商品(=コモディティ)になってしまったのです。

 ソニーも他の家電メーカーも、コモディティ化の波に抗おうとしてきました。そしてコモディティ化から逃れる決め手は、「技術力だ」と考えてきました。ソニーを含む日本の家電メーカーは押し並べて、新しい技術で先進的なモノをつくることによって、コモディティ化と戦おうとしてきたのです。しかしその結果は、無残なものだったと言わざるをえません。たとえば、VTRがDVDに進歩しても、DVDがブルーレイレコーダーに進化しても、コモディティ化の波からは逃れられませんでした。

 コモディティ化の波から逃れるのに必要だったのは、「先進的なモノ」ではなく、「革新的なビジネスモデル」だったのです。

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