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楽天のビジネスモデル転換

 楽天が物流サービスに進出しました。これは在庫管理・出荷・配送などの業務を、楽天が出店店舗から請け負うものであり、大きなビジネスモデル転換として注目されます。楽天は、今までビジネスドメインをネットに集中してきた企業です。これに対して物流ビジネスは完全なリアル事業であり、この分野への進出は楽天の戦略転換と考えることができます。

 楽天の戦略転換の背景には、「ネットの一般化」とも言える状況変化があると思います。今までのネットビジネスは、ビジネス全般の中ではマージナル(周辺的)なビジネス領域でした。しかし現在、ネット通販は広範に普及しており、もはやメインストリームのビジネスと言ってよいでしょう。「ネットは特殊だ」という理由で、ネットに特化する時代ではなくなりつつあるのです。

□ ネット特化からメインストリームへ

 楽天が創業した前世紀末時点では、ネットビジネスは間違いなく特殊なビジネスでした。ネットビジネスには特殊なノウハウが必要であり、ネットビジネスに関わるリソースは稀少性を持っていました。楽天はネットビジネスに関わるノウハウ・リソースを、いち早く確立した企業であり、これを武器に成長路線を切り開いてきました。

 しかし現在、ネットビジネスはもはや特殊な分野ではありません。ネット通販の市場規模は、百貨店業界の売上高を上回る規模まで成長しましたし、楽天市場の会員数は4000万ににも達しています。今やネットビジネスはメインストリームのビジネスであり、ことさらにネットとリアルを区分けする必要もなくなってきています。

□ 楽天は新たな差別的優位性獲得に動く

 前述のように今まで楽天はネットのビジネスドメインに特化し、ネットビジネスのノウハウ・リソースを差別的優位性として成長してきました。だが今後はネットビジネスのリソースは稀少性を持たなくなっていくでしょう。そして楽天は、ビジネスのメインストリームに躍り出てしまった以上、リアルビジネスも包含したビジネスリソースを確立していく必要があると言えます。

 このとき喫緊の課題として浮上したのが、物流ビジネスへの進出だったのだと理解できます。物流機能を差別的優位性としているアマゾンの成功例を見ても、ネット通販事業と物流事業のシナジーは、非常に高いと考えられます。物流ビジネスは楽天のネット通販事業を次のステージに引き上げるための、牽引車の役割を果たすかもしれません。

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