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明日の家電市場を制するのは誰か? ―その1 3DTVでは変わらない

 巨大な市場を抱える家電産業では、パナソニック・ソニーなどの日本企業が長く覇権を握っていました。しかし今後の雲行きは、怪しいと言わざるをえません。日本の家電メーカーは既に多くの製品分野で、サムソンに対して劣勢を余儀なくされています。また今後はハイアールなどの中国メーカーも、手ごわいライバルになると予想されます。それだけでなくアップル・GoogleなどのIT企業も、巨大な家電市場への参入を狙っています。

 日本の家電メーカーは既に家電業界の覇者ではありません。事実、家電ビジネスで儲かっている日本メーカーはほとんどありません。日本の家電メーカーが復権するためには、チャレンジャーとして、サムソンの覇権を打ち破るだけのイノベーションを成し遂げなければなりません。

□ 3DTVがカギを握るのか?

 家電業界の将来を考えるとき、次世代TVの動向は無視できません。TVは家電市場の中でも、もっとも大きな市場セグメントであるからです。そして日本の家電メーカーは、「次世代TV=3DTV」と決めつけているようです。しかしTVが3Dになっても、業界の環境や日本企業の苦境は変わらないと思います。

 3DTVは「白黒TV → カラーTV → デジタルTV」と、TVが進化してきた延長線上に位置づけられます。TVの機能が新しくなれば、当然買い替え需要が生まれます。しかし製品の進化に伴い、メーカーのビジネスモデルが変化したわけではありません。アナログTVからデジタルTVへの代替わりは、巨大のな需要を生みました。しかしそれによってメーカーが大きく儲けたわけではありません。新技術による付加価値は瞬時に消滅し、業界各社は際限のない価格競争の泥沼に陥ったのです。

□ プロダクトアウト型技術の危うさ

 おそらく3DTVでも同様で、メーカーの期待する付加価値は逃げ水のように遠ざかっていくことでしょう。それだけでなく、3D化がデジタル化ほどの需要インパクトをもたらすかどうか。それについて、楽観は禁物です。

 デジタルTVが売れたのは、実はデジタル化という技術進化が決め手になったのではなく、TVが薄くなったという形状の変化が主因だったと考えられます。消費者は基本的に現状のTVに満足しています。新しい技術ができたからといって、その製品に飛びつくと考えるのは、あまりにも安易な思考と言わざるを得ません。

 3D化によってTVが代替わりしたとしても、消費者のTVへ接し方はあまり変わらないと思われます。その範囲の変化では、消費者が製品の付加価値を認知することはなく、TVメーカーの収益構造は変わらないと予想されます。

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