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「成長戦略」に戦略性はあるのか

 かねてから「成長戦略がない」と批判されてきた民主党政権が、「新成長戦略」なるものを発表しました。今まで成長を阻害しかねない政策を推進してきた民主党政権が成長への意欲を示したことや、財政を殺しかねないバラマキ施策を積み重ねてきた政府が財政再建への意欲を示したことは、基本的に好ましいことだと思います。

 しかしこの「戦略」の中身は、いささか迫力不足ですね。この程度の施策内容で「GDP伸び率1%押し上げ、500万人の雇用創出」という目標達成ができるかどうか、手放しでは信じられません。またさして骨太とは言えないこの程度の施策でさえ、今の政府に実行能力があるのかどうか、心もとない気がします。

□ なぜ”戦略”がないのか

 とりあえず今回の政府方針で、「成長への意欲」は示せたと思います。しかしながら「戦略ができたのか?」と問われれば、ノーと言わざるを得ません。日本政府の政策運営には過去も今も一貫して戦略がなく、これは政府の構造的欠陥だと思います。

 なぜ「戦略がない」と言わざるをえないのか。その理由を説明しておきましょう。政府には、方針や目標を策定する機能はあります。今回の新成長戦略では「強い経済を目指す」とか「500万人の雇用を創出する」といった形で、方針や目標が定められました。この機能は、首相以下の政治家が持っています。そして政府には、具体的施策を立案実行する機能もあります。この機能は官僚が担っています。しかし政府には、方針・目標の合わせて各施策を最適に組み合わせ、取捨選択・優劣をつける機能がありません。

 日本政府を巨大な帆船に例えるならば、「どこに行きたい」という目標と、船を推進するためのたくさんの帆はあります。しかしそれぞれの帆をコントロールする機能がなく、それぞれの帆が勝手に機能しています。「今は右に旋回して、あの島影に入ろう」というような、戦略を策定して船をコントロールする機能が乏しいのです。

□ 政策の”仕分け”を行って初めて、戦略は機能する

 「新成長戦略」が戦略として機能するためには、目標・方針に合わせて、個別の政策を”仕分け”することが不可欠です。

 たとえば強い経済・高い成長を目指すのであれば、規制緩和・首都圏のインフラ整備などの政策は、抜本的に強化されるべきでしょう。一方、郵政などの非効率セクターを肥大化させる政策の帆は降ろさなければなりません。しかし現実は、全体方針ができても、個々の施策は全体方針と無関係に押し進められています。

 戦略を戦略として機能させるためには、個々の施策を仕分けし、優先順位を付ける機能が不可欠です。

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