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日本国債のバブルはいつまで続くのか

 ギリシアは絶体絶命。イタリアやポルトガルだってかなり厳しい。さすがにドイツは大丈夫だろうが、場合によってはフランスも危ない。これはワールドカップの戦前予想ではなく、ソブリンリスクに対する市場認識をかいつまんで示したものです。市場は欧州諸国の財政悪化に対して敏感に反応しており、欧州の金融市場は、まさに「尻に火がついた」状況になっています。

 これに対して日本国債は、市場の強風にもビクともせず、市場は大量の国債を消化し続けています。市場から叩かれた欧州諸国の国債金利は上昇していますが、日本国債の金利は依然として、超低水準に留まっています。安全資産としての日本国債の地位は、全く揺らいでいません。

□ みんなで国債を買えば怖くない?

 日本国債はほんとうに安全なのでしょうか。日本政府は、1000兆円近い借金を返せるのでしょうか。日本の財政は現時点ですでに”火の車”ですが、これが改善に向かう見通しはまったくありません。

 ですが、新規に発行される国債が安定的に消化されている限り、問題は起こりません。そして日本市場には行き場を失ったマネーがジャブジャブにたまっており、大量の資金が国債に流れ込み続けています。デフレの日本では企業にも家計にも資金需要がなく、資金運用に困った金融機関は、「渡りに船」とばかりに、国債の安全神話に寄りかかっているのです。

 既に日本の金融機関は、大量の国債を抱え込んでしまっています。これは非常の危うい状況です。日本の財政は持続可能とは考えられず、金融機関が手札として持っている国債は、未来のどこかの時点で”ババ”に変わると予想されます。しかし、「仮に手札がババばかりであっても、次の人がそれを引き取ってくれる限り、ゲームから降りる必要はない」というのが、金融機関の基本的スタンスであり、金融機関は国債の大量購入をやめようとしません。

□ 世界金融危機と同じ構図

 このような状況は、世界金融危機の直前の状況とよく似ています。世界の金融機関は、当時の状況を「バブル」と自覚しており、金融機関が大量に抱え込んだリスク資産の”手札”が、未来のどこかの時点で”ババ”に変わることを知っていました。しかし彼らは、バブルが実際にはじけるまで、「ババ抜きゲーム」をやめませんでした。「音楽が鳴っている限りダンスをやめることはできない」。これが、バブルに踊った彼らの基本スタンスだったのです。

 「国債は安全」という安全神話に乗っている限り、日本国債は魅力的な商品です。実際にここ数年で、日本株式に投資した多くの投資家は株価の下落で損失を被りましたし、海外資産に投資した多くの投資家は円高で損失を被りました。そして日本国債に投資した投資家だけが、リターンを得たと言っても過言ではありません。

 このため将来のリスクに目をつぶって、日本国債に投資することの誘因は非常に大きいと言えます。多くの金融機関は、日本国債のリスクを認識しています。しかし市場関係者のほとんどは、日本国債の安全性を信じて疑わないふりを続けています。その方が彼らにとって好都合なのです。これが国債バブルの正体なのかもしれません。

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