ソニー、Google提携 ―その2 革新的ビジネスモデルを構築できるか

 前回に続き、ソニーとGoogleの提携について書きたいと思います。前回の記事(「ソニー、Google提携 ―その1 コモディティ化と戦うソニー」)では、「必要だったのは、先進的なモノではなく、革新的なビジネスモデルだったのです」と結論を述べました。今回はこの点を、少し掘り下げて考えてみたいと思います。

 かつてのソニーが卓抜した企業であったのは、革新的な製品を開発し市場に投入してきたからです。しかし現在、企業が先進的な新製品を開発しても、それが企業の業績に大きく貢献することは少なくなりました。ほとんどの新製品は即座に模倣されてしまうため、どんな先進的な製品をもってしても、企業がそれによって過当競争から抜け出すことは困難です。

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ソニー、Google提携 ―その1 コモディティ化と戦うソニー

 ソニーがGoogleとの提携を発表しました。この提携が、ソニーの復活のきっかけとなるかどうかは、今後の経緯を見守るほかありません。しかしこの提携は、ソニーにとって重要なターニングポイントとなる可能性を秘めています。

 ソニーは過去一貫して、ブランド力を武器に、「モノに付加価値を付けて売るビジネスモデル」を推進してきた企業です。ただしそのビジネスモデルの賞味期限は、1990年代には既に切れていました。モノに付加価値を付ける戦略は、もはや有効とは言えません。

 バブル崩壊以降、ソニーにとっての20年は、日本経済の20年と同様失われた20年であり、老朽化したビジネスモデルからの脱却を求められ続けた期間だったと考えられます。過去20年間、”宿題の答え”を出せなかったソニーにとって、残された時間は長くありません。今回の新機軸は、ソニーが世界をリードする企業に復権するための最後の機会といってよいのかもしれません。

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楽天のビジネスモデル転換

 楽天が物流サービスに進出しました。これは在庫管理・出荷・配送などの業務を、楽天が出店店舗から請け負うものであり、大きなビジネスモデル転換として注目されます。楽天は、今までビジネスドメインをネットに集中してきた企業です。これに対して物流ビジネスは完全なリアル事業であり、この分野への進出は楽天の戦略転換と考えることができます。

 楽天の戦略転換の背景には、「ネットの一般化」とも言える状況変化があると思います。今までのネットビジネスは、ビジネス全般の中ではマージナル(周辺的)なビジネス領域でした。しかし現在、ネット通販は広範に普及しており、もはやメインストリームのビジネスと言ってよいでしょう。「ネットは特殊だ」という理由で、ネットに特化する時代ではなくなりつつあるのです。

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デフレの覇者の明暗 ―その2 プロ経営者と叩き上げ経営者の得失

 前回の記事では、かつて「デフレの覇者」と称賛された外食企業、マクドナルドと吉野家の業績の明暗について考察しました。
  前回記事 「デフレの覇者の明暗 ―その1 マクドナルドの躍進と吉野家の転落

 今回は両社の明暗をもたらした一つの要因として、経営者の資質とマネジメント力の問題について考えてみたいと思います。

 マクドナルドCEOの原田永幸氏は、アップルコンピュータ日本法人の社長などを歴任したプロの経営者です。これに対して吉野家ホールディングス社長の安部修仁氏は、アルバイトから叩き上げたプロパー社長です。この違いが両社のパフォーマンスに影響している面は少ないくないと考えます。

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デフレの覇者の明暗 ―その1 マクドナルドの躍進と吉野家の転落

 かつて”デフレ時代の覇者”と並び称された、マクドナルドと吉野家の業績が明暗を分けています。マクドナルドが最高益を更新する一方、吉野家は業績見通しを下方修正し、赤字に転落する見通しです。

 両社の明暗を分けたものは、経営スピードの差だと思います。マクドナルドが軽い身のこなしで激変する市場の波を捉えているのに対して、吉野家は愚直さにこだわるあまり、環境変化への対応が後手に回ってしまいました。

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JAL再建の行方 ―その3 企業体質を変えられるか?

 このブログでは、JALの再建問題についていくつかの角度から考察しています。

  前々回記事  「JAL再建の行方 ―その1 『99%減資』の欺瞞
                                (注:最終的には100%減資で決着しました)
  前回記事   「JAL再建の行方 ―その2 政治的会社の末路

 今回は、JALが企業体質を変えて再生することの難しさについて書きたいと思います。

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JAL再建の行方 ―その2 政治的会社の末路

 前回に続いて、JALの再建問題について書きます。
   前回記事 「JAL再建の行方 ―その1 99%減資の欺瞞

 今回はガバナンスの問題について書きたいと思います。JALは本来、顧客や社会に顔を向けた経営を貫徹すべきでした。しかしJALの実態は、政治や役所や組合の利益が顧客や社会の利益より優先される風土となっていました。JALのガバナンス構造は歪んでおり、これが経営破綻の一因となったと考えることができます。

 JALの不幸は、企業を動かす推進力として、経営的メカニズムより政治的メカニズムが勝ってたことにあります。JALのような「政治的会社」の末路は、決して明るいとは言えません。

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JAL再建の行方 ―その1 「99%減資」の欺瞞

 このブログでは、過去何回かJALの経営問題についてコメントしています。
   参考記事 「拡大するANAとJALの経営力格差
          「JALは再生できるのか? その1
          「JALは再生できるのか? その2

 JALに関して今まで述べてきたことは、「経営体制を抜本的に変えない限り再生は困難」ということでした。結局のところJALは、破綻に至るまで経営を改革することができませんでした。今までの経営は、問題の先送りに終始してきたと言わざるを得ません。そして最終的には、会社更生法適用というハードランディングに至りました。

 そこで、再度JALの再建問題について、いくつかの断片を考察してみたいと思います。

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イノベーションなき研究開発王国

 先日の日経新聞に、主要国における研究開発費のGDP比率ランキングが掲載されていました。それによると、日本の研究開発費のGDPに対する比率は約3.6%で、これは米国などを抑えて世界1位となっています。

 しかし研究開発費の水準が高くても、それがイノベーションに結びつかなければ意味がありません。日本の研究開発費は、投下した資金に見合う成果を生んでいるでしょうか。残念ながら、世の中を変えるような革新的・創造的イノベーションが、日本で生まれることは非常に少ないと言わざるを得ません。

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超一人勝ちを続けるユニクロ

 ユニクロが驚異的に売上を伸ばしています。同社の10月の販売実績によると、9月の既存店売上高は前年に比べて32%も増加しました。アパレル業界の同業他社が売上を大幅に減らしている中で、ユニクロの業績は突出しています。

 確かにユニクロは波に乗っています。しかしあまりの突出ぶりは異常だと思います。この現象の背景には、ユニクロという一企業の躍進とは別に、消費市場の大きな構造変化がありそうです。

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