デフレ時代の価格戦略 ―明暗を分けたすき家と吉野家

 牛丼業界の2強である「すき家」と「吉野家」の、業績格差が拡大してきました。両社が発表した6月の既存店売上高は、すき家が18.7%増、吉野家が15.1%減となり、両者の格差は極端に拡大しました。

 その背景には、両社の価格戦略の違いがあります。すき家がデフレの市場環境に対応し機敏に値下げ戦略を推進する一方、吉野家は価格維持戦略を墨守してきたのです。牛丼のように消費者の価格志向が強い商品の場合、企業の価格対応力が競争のカギを握ります。これは「自明の理」といってよいことなのですが、吉野家はセオリーを無視した経営を変えようとしませんでした。

 デフレ時代に「価格」を重視しない企業は、市場から大きなしっぺ返しを受けます。

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明日の家電市場を制するのは誰か? ―その2 ハイテクからEテクへ 

 前回の記事「明日の家電市場を制するのは誰か? ―その1 3DTVでは変わらない」の続編を書きます。前回の主旨は、「新しい技術を売り物にしても、ビジネスモデルが変わらなければ家電業界の構造は変わらないし、日本企業の復権は困難だ」ということでした。

 今回は、日本の家電産業が陥った技術至上主義の袋小路から脱出する方策について、一つの切り口を提示したいと思います。その”ココロ”は、「ハイテクノロジーからE(エモーショナル)テクノロジー」です。今までの家電業界企業は、技術の高さ(=ハイテクノロジー)を競ってきました。しかし結局それはドングリの背比べであり、ハイテクは企業の差別的優位性に結び付かなかったと考えられます。

 企業がハイテクを「これはすごい技術です」と誇示しても、消費者が「これはすごい」と感動することは、もはや稀有といえます。消費者を感動させる技術(=エモーショナルテクノロジー)は、従来のハイテクとは別の方向にあるのだと思います。

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明日の家電市場を制するのは誰か? ―その1 3DTVでは変わらない

 巨大な市場を抱える家電産業では、パナソニック・ソニーなどの日本企業が長く覇権を握っていました。しかし今後の雲行きは、怪しいと言わざるをえません。日本の家電メーカーは既に多くの製品分野で、サムソンに対して劣勢を余儀なくされています。また今後はハイアールなどの中国メーカーも、手ごわいライバルになると予想されます。それだけでなくアップル・GoogleなどのIT企業も、巨大な家電市場への参入を狙っています。

 日本の家電メーカーは既に家電業界の覇者ではありません。事実、家電ビジネスで儲かっている日本メーカーはほとんどありません。日本の家電メーカーが復権するためには、チャレンジャーとして、サムソンの覇権を打ち破るだけのイノベーションを成し遂げなければなりません。

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春節の日の光景2010

 ちょうど今から2年前に「春節の日の光景」と言う記事を書きました。その中で、「銀座は中国人観光客で溢れているが、小売事業者はその需要を取り逃がしている」と指摘しました。

 2年後の今、日本の観光地や繁華街はさらに多数の中国人観光客で溢れています。そして多くの日本企業が、この”中国特需”を取り込もうと必死になっているようです。時代は確実に変わっていますね。

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百貨店は消え去るのか?

 百貨店業界が深刻な経営危機に陥っています。かつての百貨店は、文字通りあらゆるジャンルの商品を取りそろえ、老若男女の幅広い客層を相手に販売する業態でした。しかし百貨店の各売り場は、専門店との競合に敗れ、次々と”落城”してきたのです。そしてついに”本丸”であるアパレル商品も、ユニクロ等の専門店の攻勢を受け、落城寸前の状況にあります。

 アパレルという”本丸”に立てこもった百貨店が競合に敗れれば、百貨店業態の存在意義はなくなります。百貨店はこのまま消え去る運命なのでしょうか。

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百貨店淘汰 -その2 業界再編の次に来るもの

 だいぶ間があいてしまいましたが、2月に書いた記事「百貨店淘汰 -その1 チキンレースの結末」の続きを書きたいと思います。

 百貨店業界は、市場が縮小する中での出店競争を続けてきました。その結果店舗過剰となり、業界全体が必要な利益を得られない状況に陥っています。窮地に陥った百貨店は、経営統合に活路を見出そうとしましたが、それだけで生き残れるほど、環境は甘くありませんでした。

 無謀な出店競争のつけは、むしろこれから顕在化します。行き着く先は、「負け組企業の淘汰」ということになるでしょう。

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百貨店淘汰 -その1 チキンレースの結末-

 最近「百貨店が出店・改装を凍結」といったニュースを、しばしば目にするようになりました。百貨店業界は従来から店舗過剰であったことに加えて、最近は売り上げが急減しています。投資の凍結は、当然すぎるくらいの経営判断です。

 しかしながら、今までの百貨店業界はこれができませんでした。需要が減少しているにも関わらず、出店や増改装のための投資を続けてきたのです。これは無謀な経営と言わざるを得ません。そして今、過去のつけを払わせられる時が来たようです。本格的な淘汰の時代の始まりです。

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トヨタ、赤字転落

 トヨタが業績見通しを修正しました。今期の営業利益は1500億円の赤字に転落し、戦後初の赤字決算となる見込みです。昨年度の営業利益は22700億円の黒字だったので、減益幅は2.4兆円にも及びます。

 さしものトヨタも、あまりにも急速な環境変化に対応できなかったといってよいでしょう。ただ問題は、現在の苦境が一時的なものかどうかです。「異常事態」も一時的なものであれば、身をすくめてやり過ごすことができます。残念ながらその可能性は少ないと思われます。トヨタを代表とする日本の製造業の強さは、”幻”であったのかもしれません。

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規制への回帰 ―タクシー業界の失われた6年

 タクシー業界に対する規制が再び強化される見通しです。参入規制を強化し、タクシーの車両台数をコントロールしようとするのがその内容です。タクシー行政は、2002年に規制緩和への舵が切られました。しかしながら業界の改革は進まず、過去の「護送船団方式」の時代に逆戻りする結果となりました。この6年間はタクシー業界の「失われた6年」となってしまいました。

 このブログではおおよそ1年前に、タクシー業界の問題は「値上げでは解決できない」と書きました。今振り返っても、1年前の値上げは「失われた6年」を決定付ける愚策だったと思います。こちらの記事も参照してください。
  このブログの記事      「タクシー業界の過当競争体質
  nikkeiBPnetに書いた記事 「値上げでは解決できない ―タクシー業界の過当競争体質―

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住宅不況到来!? -その2

 前回に続いて、”住宅不況”について書きます。昨日(10月31日)国土交通省から、9月の新設住宅着工数が発表されました。これによると、新設住宅の着工数は前年同月比-44%減となりました。

 この影響は深刻だと思います。住宅業界だけでなく、住宅設備・インテリア・家電などの業界にも影響は広がるでしょう。特にマンション業界企業への投資には、注意が必要ですね。また不動産市況にも、影響は広がると思います。新築マンションは極端な品薄となるでしょう。マンションを買うなら、今のうちかもしれません。

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